8月22日:夏の休日の過ごし方
日曜日の昼下がり、もうこのあとはなにもしなくていい、お腹がすいたらご飯を食べて眠るだけ......の状態で、リビングで夫と過ごす時間がすきだ。
テレビはつけない。ワイヤレススピーカーからはオルゴールのキラキラした音色が流れて、部屋をまったりした空気に変えていく。
外は真夏の暑さだけれど、部屋は冷房のおかげで過ごしやすい。みーんみん、と窓の外から聞こえてくる蝉の音がどこかぼんやりしていて、外の世界と切り離されている気分になる。
わたしたちの部屋だけが宇宙に浮いている。
窓を開けたら、きっと現実がゴボゴボと流れ込んでくるんだろう。だからすべての窓をピッシリと閉めて、オルゴールの音だけを部屋にあふれさせる。
安全な部屋。ささくれてポロポロと剥けてしまいそうな心がやわらかくほぐれて、馴染んで、まぁるくまぁるく戻っていく。
三人がけのソファでは夫がごろんと寝転がり、いつのまにかスヤスヤと夢の中。バナナの形のクッションを両手に抱いて眠る姿は子どものよう。
わたしはその姿をたまにチラリと、たまにまじまじと眺めながら、あたたかい紅茶をこくり、こくりと少しずつ体に流し込んでいく。お腹の下のほうがじんわりと熱を持ち、やがてスーッともとの温度に戻る。その変化がおもしろい。
今日はもう、お腹がすくのを待つだけ。お腹がすいたらご飯を食べて、あとは眠くなるのを待つ。眠くなったら、眠るだけ。
焦ることなく、慌てることなく、なにもないこの時間をただ過ごす。それだけでじゃうぶん。